テキストファイル・エディタとは何か

31.1. テキストファイル・エディタとは何か

テキストファイルとテキストエディタについて、その意味と御利益を説明します。

テキストファイルとは #

コンピュータが扱うファイルには文字情報だけからなるテキストファイルと、文字情報以外の情報を含むバイナリファイルの 2 種類に分かれます。この章の目標は、前者のテキストファイルが編集できるようになることです。

テキストファイルは文字の情報しか含まないので、見た目はかなり味気ないです。ワープロソフトを使えば字の大きさ、色やフォントを変えたりと色々いじることができます。しかしテキストファイルはそのような情報を一切含まず、文字を入力しても、ただひたすら黒色で同じ大きさの文字が並ぶだけです。普段ワープロソフトを使い慣れてる人は「最初からワープロで書けば見栄えが良くできるじゃないか」と不満に思うかもしれません。しかし、はいぱーワークブックでテキストファイルの取り扱いに 1 章丸々割くのには理由があります。それは一言で言うと、テキストファイルは構造が単純な分、色々な意味で扱いやすいという点です。

構造の単純さからは様々な恩恵が得られます。第一に、テキストファイルは文字の情報しか含まないので大変軽いです。1 人の人間がどんなに頑張ってキーボードを打ってテキストファイルを作っても、容量が 1MB を超えることは希です。そのためコンピュータの記憶容量を圧迫することもなく、メールへの添付やコピー & ペーストも容易に出来ます。

第二に、テキストファイルは構造が単純なので極めて高い互換性を持ちます。ワープロソフトの場合、たとえば Microsoft Word で作った文書を編集するには Microsoft Word がなければいけません。一方でテキストファイルは、どんなコンピュータでも特別なソフトをインストールすることなく編集ができます。この恩恵は初期のインターネットが普及するときに際立って現れました。このはいぱーワークブックを含め、ウェブページの骨格となる「ソースファイル」と呼ばれるファイルはテキストファイルです。そのため、手元でテキストファイルをいじるだけで誰もが自由にウェブページを作ることができました。

そしてコンピュータの扱いに長けた人にとって最も重要なのは、テキストエディタはプログラムでの処理がし易いということです。はいぱーワークブックでも 26. テキストデータ処理 27. LaTeX 28. gnuplot など随所で説明しますが、テキストファイルを編集するためのプログラムや、テキストファイルに保存されたデータを元にグラフを描いたり綺麗な文書を整形したりするプログラムが世の中にはあります。これらのプログラムは極めて強力で、その恩恵をもたらしてくれる一つの理由がテキストファイルの構造の単純さなのです。

テキストエディタ #

テキストファイルを編集するためのプログラムをテキストエディタ (あるいは略してエディタ) と言います。ただしテキストファイルは Microsoft Word をはじめとするワープロソフトでも編集できるので、この定義だとワープロソフトもテキストエディタに入ってしまいます。世間一般で「テキストエディタ」というときは、もう少し意味を狭め「テキストファイルの編集を主目的として作られたプログラム」くらいの意味に用いられることが多いです。

テキストエディタの優れている点は何と言っても動作が軽いことです。ワープロソフトは起動に数十秒待たされることも珍しくないですが、テキストエディタはふつう数秒で起動します。起動した後もテキストエディタ動作は極めて軽く、何かの作業で待たされることはほとんどありません。この軽さも、テキストファイルの単純さからもたらされる恩恵の一つです。

そして 26. テキストデータ処理 で説明するように、テキストエディタには高度な検索 / 置換機能が備わっていることが多いです。文字の色やフォントといったヴィジュアル的な側面を無視して文字情報の編集だけを考えるなら、テキストエディタほど効率の良いものはありません。実際、テキストエディタで作った文書を後でワープロソフトに貼り付けるという使い方をする人もたくさんいます。みなさんもぜひこの章を通じて、テキストエディタの便利さを実感してください。

テキストエディタ テキストファイル・エディタとは何か テキストエディット