18.3 プログラムとデータ

コンピュータというハードウェアは情報を処理する機械です. ここで1つ注意して貰いたいのは, 全くの無から情報が生じることはないということです. まず,何らかの形で情報が入力され,それを元に情報処理が進められます. さらに,その結果を何らかの形で出力しなくては, 処理された情報は利用されることなく消えていくことになります. つまりコンピュータとは,図に示すように, 情報が入力されると それを加工処理して出力する機械, ということになります. 情報処理 にあって, 入力出力 は非常に大切な概念であり,常に意識しておくことが肝要です.

入力情報→計算機 (情報処理システム)→出力情報

ところで, 入力情報を処理・出力する機械がコンピュータであると言ってしまうと, 前の例に挙げたビデオデッキもコンピュータということになってしまいます. コンピュータの大きな特徴として, 「プログラムによって情報処理の機能を変更できる」ことが挙げられます. ビデオデッキがビデオの録画や再生,CD プレーヤが CD の再生のみを行う 特定機能の機械であるのに対して, コンピュータはプログラムを変えることによって機能が変わる機械であり, それが本質的な特徴になっています. 実際,現在ではパソコンであっても, ビデオ情報や音声情報を再生するプログラムによって, ビデオデッキや CD プレーヤのように利用できます.(逆に,ビデオデッキをワードプロセッサとして使うことはできませんね.)

プログラムは,それ自体も情報の一種であり, 「情報処理の作業内容を表した情報」と位置付けられます. つまり,情報処理の観点では, 「処理内容を表す情報」と「処理対象となる情報」の 2つの異なった情報があることになります. これらを区別する際には,前者を プログラム (program),後者を データ (data) と呼びます. ソフトウェアは,プログラムとデータの2種類に区別できますが, その関係が固定的でないことに注意する必要があります. たとえば,プログラムファイルをコピーする作業を考えると, コピー対象のプログラムファイルはデータに他なりません.