TCP/IPは,インターネットにおいて標準的に使われているプロトコルです.
TCP/IPを利用した通信システムはもっとくわしくみていくと、4層に階層化しているととらえることができます.
階層化における上位下位の関係ということを、電話を例にとって説明します.
電話で通信するときには,電話線を通じて信号が伝わります.電話線の信号は,電気的なレベルでも,あるプロトコルに従って通信がされている わけです.しかし、電話をかける人にとっては,どの交換機をとおって通信しているかなどの下位のレベルのプロトコルを意識することなしに 電話をすることができます.人が電話をかけるときには、「もしもし」などといってからかけますが, これも一種のプロトコルといえます.「これから話しますがいいですか」と信号を送っている訳です. 聞いているほうでも、それがどういう意味か了承しているので、コミュニケーションが成り立つわけです. この「もしもし」のほうが電気的なレベルよりも,上位のプロトコルといえます.
TCP/IPのシステムにおいて,4つの層は「ネットワークインターフェース層」「IP層」「TCP層」「アプリケーション層」と呼ばれます.
いちばん下のレベルの「ネットワークインターフェース層」は,電気的な信号のレベルの約束ごとです.
その上がIP層です.インターネットでは,データは,パケットと呼ばれる単位に分割されて伝送されます.これらの層で,データは,パケット単位でネットワーク間でやりとりされます.パケットには、そのパケットがどこに送られるべきかの宛名が書いてあります.それがIPアドレスです.複数のネットワークを経由して目的のホストまでパケットを導く ことをルーティングといいます.ルーティングの情報はこの層の担当になります.
TCP層では,データの確実な通信を保証します.
4つの層のうち、いちばん上の層がアプリケーション層です.TCP/IPを利用するプログラム間で,ファイル転送や, リモートログイン,電子メールの送信などの際の通信の規約などが、この層のプロトコルの例です. たとえば、電子メールの送信の際には、SMTPというプロトコルが使われます. POPは, 電子メールをサーバからとってくる際のプロトコルの一つです. HTTPは,ウェブページをウェブサーバに 送信するように要求するプロトコルです.
TCP/IPは階層化されているので,各プロトコルは別の階層のプロトコルを気にすることなく通信することができます.たとえば,アプリケーション層において,SMTPによる通信をするときに,ネットワークインターフェース層において,100BASE-TXを用いようが,1000BASE-Tを用いようがSMTPにとっては気にする必要がありません.
TCP/IPネットワークに限らない一般のネットワークに関する階層化の標準的モデルとしては,OSI参照モデルが有名です.
これは,ネットワークにおける通信を,物理層,データリンク層,ネットワーク層,トランスポート層,セッション層,プレゼンテーション層,アプリケーション層の7つに階層化してモデル化するものです.
TCP/IPのネットワークを4層としてとらえた場合には,OSI参照モデルの物理層とデータリンク層がTCP/IPネットワークにおけるネットワークインターフェース層.OSI参照モデルのネットワーク層がTCP/IPネットワークにおけるIP層,OSI参照モデルのトランスポート層が,TCP/IPネットワークにおけるTCP層,OSI参照モデルのセッション層,プレゼンテーション層,アプリケーション層がTCP/IPネットワークのアプリケーション層にあたります.
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Fri, 03 Sep 2004 14:13:18 JST (1792d) |