26.1.7.6 ものの見え方

ラジオを買ったとして，その中味まで見る人はほとんどいません．表面のダイヤルやボタンの使い方さえわかればいいからです．中味が触れるようになっていたりするとかえって危険です．このように，一般に「部品」として使われるもは，

• 外部から見たり触ったりできる部分

• 外からは見えない部分 という2つの部分から構成されています．プログラムでも「部品」という考え方を導入したのと同時に，この公開・非公開の指定をするようになりました．やり方としては，

• いくつかの要素(データやメソッド)を1まとめにする指定を導入する．この「まとまり」には名前もつけられる．

• 「まとまり」の中の要素相互は参照可能とする．

• 「まとまり」の外側から内部の要素は参照できない．

• 「まとまり」の内側から外側の要素は参照できる．

• これらの一般規則に対する例外を必要なら用意する． Java での主な「まとまり」は，クラスとメソッドです．したがって

class Example {
  static void main(...) {
  ...
  }
}

とすると，外部から見える(参照できる)のはクラス名 Example だけで，メソッド名 main は外部からは見えません．卵が生んであっても，外からそれを暖めることができないことになります．このための例外が，「外部にも公開する」という意味の指定 "public" です．このような訳で，実行開始用メソッドmainの定義には

public static void main(...)

という，いろいろな指定語がついた形になっています．