26.1.6.33 配列計算の計算量

コンピュータの特長の一つは大量のデータを高速に処理できることですが,コンピュータも無限に速いわけではないので,同じ問題を処理するのにも,やり方によって所要時間にかなりの差が出るのがふつうです.整列のアルゴリズムでも,単純な"Sort1"の方法と併合整列"SortM"の方法とでは能率がかなり違い,とくに扱うデータ量が多くなってくるとその差は禁止的に大きくなります.このような計算の手間を計算量と呼びます.もちろん,速いコンピュータを使えばそれだけ短い時間で計算が終りますが,アルゴリズム間の計算量の差(あるいは比)はもっと大きいのがふつうです.

計算量は,アルゴリズムの中の処理単位,たとえば四側演算や比較などの数ではかりますが,一般には“問題の大きさn”の関数の形になります.そして,その関数の項のうちで“全体の傾向を決める主要なもの”の関数形を使った議論がよく行なわれます.これをこの計算量のオーダと呼び0(n),0(n2)などと表わします.これまでに扱ったいくつかのアルゴリズムについて,そのオーダを見てみましょう.

まず単純な探索ですが,これは端から順に調べてゆくわけですから,要素数をn,どこで見つかるかが等確率だとすれば,平均的にはn/2回の判定で終了します.つまりオーダn,0(n)と言うことができます.日本語入力を行なう場合の「かな漢字変換」では“よく探される要素を前の方へ移す”ことによって,能率を高めるくふうをしていますが,原理的にはこのオーダの手間がかかります.