LaTeXを使って文書を整形するためには,決められた書式に従ってTeXファイルと呼ばれるファイルを作成する必要があります.TeXファイルは通常のテキストファイルに[この文字は大きく印刷する][ここに数式を挿入する]といった意味の記号や文字列(コマンド)を書き加えることで作成します.したがってTeXファイルを編集するためのソフトは,テキストファイルが編集できるものであれば何でも構いません.
LaTeXを記述したファイルの中でよく使われるバックスラッシュの記号は円記号で表示される処理系もよくあります.しかし,テキストエディットはその両者を区別する為に, ファイルを編集するときにテキストエディットを用いると,円記号で表示される文字でなくバックスラッシュ\で表示される文字を用いなければなりません.いろいろややこしいので,Emacsで編集した方が無難でしょう.
詳しい説明は専門書に任せるとして,ここではTeXファイルの簡単な例を見てみましょう.
% TeXファイルの見本 \documentclass[a4paper]{jarticle} \title{TeXファイルの見本} \author{東大太郎} \begin{document} % 本文ここから \maketitle 私の名前は東大太郎です. 今年東京大学に入学しました. \section{趣味} 私の趣味は \begin{itemize} \item 映画鑑賞 \item ドライブ \end{itemize} です. \section{得意科目} 私は数学が得意です. \[\sum_{k=1}^{n}a_k\] \[\int_a^b f(x)dx\] \end{document} % 本文ここまで
これがTeXファイルの中身です.このような内容が書かれたテキストファイルを".tex"という拡張子を付けた名前で保存します.
\マークの後にtitleやsectionと書かれた文字列がコマンドです.例えば2行目の
\documentclass[a4paper]{jarticle}
はこの文書がA4サイズの日本語文書であることを宣言しています.3行目の
\title{TeXファイルの見本}
は,この文書のタイトルを指定しています.\titleの後の{}の中身が文書のタイトルとして印刷されます.
そしてこの文書を印刷すると,次のような出力結果が得られます.
単なるテキストファイルのTeXファイルとは全く見た目の異なる美しい文書が出力されました.この印字結果の美しさがTeXの最大の特長です.コマンドは文書の種類や文字の修飾を指定しているだけですので,当然印字されません.また % は「コメント文字」と言い,%以降の同じ行に入力された文字は一切印刷に反映されていません.
出力結果の中で特に注目して欲しいのが,「趣味」と「得意科目」の前にある数字です.TeXファイルの中にはそのような数字は一切書かれていませんが,出力結果にはちゃんと章番号が表示されています.これはLaTeXに文書の構造を解析し,自動的に章番号を割り当てる機能があるためです.
LaTeXの機能は非常に豊富で,ここでその全てを紹介することはできません.LaTeXを本格的に使用したい方には,専門書の購入をお勧めします.基本的な使い方だけが書いてあるものから,ほとんどの機能を網羅した辞書のように分厚いものまで,様々な種類の書籍が販売されています.またWWW上にもLaTeXの使い方に関するページが沢山あります.自分の用途に合った書籍やウェブページを見つけてうまく利用して下さい.
さて,ここではいきなり印刷結果をお見せしましたが,実はその前にTeXファイルのコンパイルという作業が必要になります.次はコンパイルの仕方について説明します.
24.2 LaTeX | 24.2.1 TeXファイルの作成 | 24.2.2 TeXファイルのコンパイル | ||
2009年度版に向けて現在作業中です.
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Wed, 06 Jul 2005 23:32:11 JST (1486d) |