17.2.9 概念の利用

プログラムは, ちょっと複雑なことをやらせようと思うと, あっという間に大きくなってゆきます. この大きさを制御することが, プログラム作りのコツだと言っても過言ではありません. それでは,大きくなることに抵抗するにはどうしたらよいでしょうか. それには概念の整理によるのが最も正統的なやり方です.

猫が目の前を通りすぎているものとしましょう. これを

猫が右前足を少し前へ伸ばして着地するのと同時に左後足を同様に動かし, 体全体を少し前へ移動させてから, 今度は左前足を少し前へ伸ばして着地するのと同時に……

などと言う人はいません. 単に

猫が歩いている.

と言うでしょう. このように, 一連の動作とか一まとまりのものに対して, 我々はそれに名前をつけて扱っています. 細かい動作や個々の物品にいちいち言及していたら,話は全然進みません.

プログラミング言語にも同じような仕掛けがないと, 大きなプログラムは作れません. Javaではメソッド(method)と呼ばれる機能がそれを受けもっています. 他の言語では手続き(procedure), サブルーチン(subroutine)などと呼びます.