18.2. LaTeX によるPDF作成
\(\LaTeX\) (LaTeX) は、 \(\TeX\) (TeX) を元に作られた文書作成ソフトウェアです。 この節以降は、PDFを作成するという使い方に焦点をあてて側面で紹介します。
前ページでは Colab を使って、LaTeX の数式の書き方を体験しました。
本来の LaTeX は組版ツールとして、卒業論文や教員の書く論文や教材などページ数の多い文書の執筆でも活躍しています。
フリーソフトウェアであること、美しい数式が組める、テキストファイルでgit
などのバージョン管理システムと相性が良い、多言語処理能力が高いなどの利点があります。
右図上部のように、LaTeX 記法でソースファイルをユーザが用意します。これにはエディタを使います。VSCode
などでも良いです。
最終的に、右図下部のように、PDFが出力されます。
変換の過程は、左のパスのように1度 dvi
という中間ファイルを経由する方法と、右のパスのように 1度で変換する方法があります。
この章では主に左の方法を紹介します。
変換の際には、platex
などそれぞれの段階で、対応するコマンドを使います。
どちらの場合も慣れたら
latexmk
で自動化すると良いですが、あるていど理解しないと使えないので HWB では割愛します。
stateDiagram-v2 State1: LaTeX source note left of State1 : エディタで書く State2: dvi State3: PDF note right of State3 : 読む State1 --> State2 : platex, uplatex State2 --> State3 : dvipdfmx State1 --> State3 : pdflatex
歴史
TeX は、正しくは右画像の1行目のように E を左下に割り込ませて表記し、「テフ」または「テック」と読みます。Donald E. Knuth 氏が作成された「特にたくさんの数式を含んだ美しい書籍を製作するための組版システム」です。
LaTeXは TeXをもとに Leslie Lamport 氏により開発され、実際に文書を作る際に便利な機能が追加されました(ロゴは、画像 2 行目)。

自宅学習のためのインストール
現在では `TeX Live` の最新の配布セット一式を使うと便利です。
LaTeX を使うにはさまざまなプログラムや配布ファイルの協調が必要があり、TeX Live はうまく初期設定をしてくれます。
TeX Wiki (奥村晴彦氏運営 日本語)
TeX Live (英語)
TeX Live の mac 用のものが Mac TeX です。TeX Live をそのまま使うこともできます。
Mac TeX
Linux distribution 配布のパッケージを使うこともできますし、TeX Live を使うこともできます。
最初は前者が楽かもしれません。ただ最新版ではなくて、少し古くなってしまう傾向があります。
TeX Live を使うのが良いと思います
自身のコンピュータにインストールすることなく、ウェブブラウザから LaTeX を使えるサービスもあります。
HWBとしては使用を勧めるわけではありません。試す場合は、自分で使用許諾条件等を読み、理解してからにしましょう。Overleaf
標準的なインストール方法では、数GBをダウンロードし、1時間以上かかるかもしれません。 週末など、時間とネットワーク通信通信に余裕がある環境で試すことをお勧めします。