LaTeX によるPDF作成

17.2. LaTeX によるPDF作成

\(\LaTeX\) (LaTeX) は、 \(\TeX\) (TeX) を元に作られた文書作成ソフトウェアです。 この節以降は、PDFを作成するという使い方に焦点をあてて側面で紹介します。

前ページでは Colab を使って、LaTeX の数式の書き方を体験しました。 本来の LaTeX は組版ツールとして、卒業論文や教員の書く論文や教材などページ数の多い文書の執筆でも活躍しています。 フリーソフトウェアであること、美しい数式が組める、テキストファイルでgit などのバージョン管理システムと相性が良い、多言語処理能力が高いなどの利点があります。

右図上部のように、LaTeX 記法でソースファイルをユーザが用意します。これにはエディタを使います。VSCode などでも良いです。

最終的に、右図下部のように、PDFが出力されます。

変換の過程は、左のパスのように1度 dvi という中間ファイルを経由する方法と、右のパスのように 1度で変換する方法があります。 この章では主に左の方法を紹介します。 変換の際には、platex などそれぞれの段階で、対応するコマンドを使います。

どちらの場合も慣れたら latexmk で自動化すると良いですが、あるていど理解しないと使えないので HWB では割愛します。

stateDiagram-v2 State1: LaTeX source note left of State1 : エディタで書く State2: dvi State3: PDF note right of State3 : 読む State1 --> State2 : platex, uplatex State2 --> State3 : dvipdfmx State1 --> State3 : pdflatex

歴史
TeX は、正しくは右画像の1行目のように E を左下に割り込ませて表記し、「テフ」または「テック」と読みます。Donald E. Knuth 氏が作成された「特にたくさんの数式を含んだ美しい書籍を製作するための組版システム」です。 LaTeXは TeXをもとに Leslie Lamport 氏により開発され、実際に文書を作る際に便利な機能が追加されました(ロゴは、画像 2 行目)。

TeX それ自体は 1990 年から機能拡張はされなくなりましたが、LaTeX は今も新版 LaTeX3 の開発が続けられています。また、様々な TeX の拡張が、現在に至るまで精力的に開発されています。(株)アスキー によって日本語化された pTeX と、pTeX 用に LaTeX を改変した pLaTeX もその1つで、日本語でTeX を使うとき、pLaTeX やその後継の uplatex を使うことが多いです。この教育用計算機システムで実際に皆さんが扱う LaTeX も、実際には (u)pLaTeX です。

自宅学習のためのインストール

現在では TeX Live の最新の配布セット一式を使うと便利です。 LaTeX を使うにはさまざまなプログラムや配布ファイルの協調が必要があり、TeX Live はうまく初期せってをしてくれます。

TeX Live の mac 用のものが Mac TeX です。TeX Live をそのまま使うこともできます。

Mac TeX
Linux distribution 配布のパッケージを使うこともできますし、TeX Live を使うこともできます。 最初は前者が楽かもしれません。ただ最新版ではなくて、少し古くなってしまう傾向があります。
TeX Live を使うのが良いと思います

自身のコンピュータにインストールすることなく、ウェブブラウザから LaTeX を使えるサービスもあります。

HWBとしては使用を勧めるわけではありません。試す場合は、自分で使用許諾条件等を読み、理解してからにしましょう。
Overleaf
TeX Wiki (奥村晴彦氏運営 日本語) TeX Live (英語)
標準的なインストール方法では、数GBをダウンロードし、1時間以上かかるかもしれません。 週末など、時間とネットワーク通信通信に余裕がある環境で試すことをお勧めします。
Colabで数式を書く LaTeX によるPDF作成 まず使ってみる