24. プレゼンテーション
他者に対して自分の主張を述べることを、総称してプレゼンテーションといいます。たとえば会社内における会議、製品の宣伝、大学における講義などはすべてプレゼンテーションにあたります。このプレゼンテーションを上手に行うための方法を考えてみましょう。
近年、プレゼンテーションの在り方が大きく変わってきました。コンピュータの発達やプレゼンテーション用ソフトウェアの普及といった、技術の発展があったからです。昔は透明な「OHP フィルム」を画面に投影することがプレゼンテーションの主流でした。それが現在では、PowerPoint や Keynote といったソフトウェアを用いたプレゼンテーションが主流となっています。
これらのソフトウェアには、色々なメリットがあります。たとえばコンピュータを使えば、プレゼンテーション中で
- 画面の色やレイアウトを自由にコントロールできること
- 配布資料に頼ることなく、高解像度の写真を提示できること
- 動画や音声のような、紙媒体では決して実現できないメディアを取り入れられること
などができます。こうした現代ならではのメディアを活用することで、旧時代と比べ、プレゼンテーションにおける表現の可能性は格段に広がります。
一方、道具の性能が上がってもプレゼンテーションが良くなるとは限りません。今を生きるみなさんの中にも「分かり辛いプレゼンテーションを聞く羽目になった」という苦い経験を持っている人が、少なからずいるのではないでしょうか?たとえば
- 画面の字や写真が小さくで、ほとんど何も見えなかった
- 文字や写真がバラバラに並んでいて、それらの関連性がつかめなかった
- どう見ても関係ない項目が「・」記号の箇条書きで並んでいて、何を言いたいのか分からなかった
- 発表者はスライドに書かれている文章をただ読み上げるだけで、自分が先にスライドを読み終えると暇を持て余してしまった
- 部屋が暗い上に発表者が抑揚のない調子で話すので、強烈な眠気に襲われた
といった具合に、です。残念なことに、プレゼンテーション用ソフトウェアでできることが多くなったがために、聴衆への配慮が欠けることがあるのも事実です。
このように、プレゼンテーション用ソフトウェアへの過信は禁物です。目的は「プレゼンテーションを行うこと」そのものであって、そこに登場するソフトウェアは手段に過ぎません。このことを忘れて「ソフトウェアを使うこと」ばかりに気を取られると、ソフトウェア本来の力を失うどころか、「ソフトウェアのせいでプレゼンテーションが分かり辛くなる」という本末転倒な結果を招くことになりかねません。そこでこの章では「どのようにすれば、聴衆にとって分かりやすくなるか」という観点から、プレゼンテーションを構成する要素全般を考察してみます。みなさんが聴いたことのあるプレゼンテーションや、あるいはみなさん自身が過去に行ったプレゼンテーションの内容を振り返り、それらの良いところ・悪いところを考えながら、この章を読み進めていってください。
それから、もう一つだけ注意をしておきます。プレゼンテーションのやり方が上手くなることは、プレゼンテーションされる内容そのものが良くなることとは別の問題です。プレゼンテーションするべき内容がきちんとしているなら、上手なやり方を身に着けることが多いに役立つでしょう。しかしプレゼンテーションの内容がなければ、いくら見かけをよくしても無駄です。このことは決して忘れないでください。
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24.9. 参考文献・リンク集
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