23.5. グラフを描く際の基本事項
グラフを的確に使いこなせるようになりましょう。
「グラフなんて適当に描けばいいじゃん」と思っていたら、それは大間違いです。たとえば次の図を見てください。
これは、全く同じデータを 2 通りの方法でグラフ化したものです。左側のグラフでは内側が系列 1, 右側のグラフでは左の棒が系列 1 を表しています。
A | B | C | |
---|---|---|---|
系列 1 | 38.2 | 25.8 | 36.0 |
系列 2 | 33.8 | 20.4 | 45.8 |
数値で見れば、真ん中の項目 B の値が系列 1 と 2 で違うことがはっきり分かります。ところがグラフにすると、どうでしょうか?左のグラフでは項目 B に差があることを読み取るのは非常に困難です。一方で右のグラフでは、2 段目が細くなっており、データに差があることがはっきりと認識できます。このように同じデータを使うにしても、グラフの描き方一つで分かりやすさには大きな差が出るのです。
また、次の文章を読んでみてください。これは中島利勝・塚本真也『知的な科学・技術文章の書き方』 (コロナ社) の第 4 章「図の作成法と作図力学」からの引用です。
「図はデータの結果が、ただ単に理解できればよいのだ」と、もし考えているのなら、傑出した論文の完成には程遠いと言わざるをえない。なぜなら、科学・技術文章中の図は、それ自身が文章以上に雄弁に物語り、さらに図の連携によって論文のストーリーを構成し、説得力のある合理的な最終結論に到達すべきであるからだ。こうした意味で、図によって科学・技術論文の死活が決定づけられるといっても過言ではない。
みなさんが書くグラフは科学・技術論文のものではないかもしれません。また、きちんとしたグラフを描くことより、ラフスケッチをすることがが目的かもしれません。しかしどんなグラフにも「抑えるべきポイント」はあり、これを理解しないとグラフ本来の力を引き出すことができません。「グラフの描き方」を、一度腰を据えて考えてみましょう。
23.5.1. 数値データの尺度
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