17.5.1. HDD と SSD
コンピュータの補助記憶装置として中心的な位置を占めるのが、ハードディスクドライブ (HDD) とソリッドステートドライブ (SSD) です。
ハードディスクドライブ (HDD) #
ハードディスクドライブ (Hard Disk Drive, 略して HDD) は磁気を用いてデータを記録する装置です。HDD の内部には金属製の円板が何枚か入っており、ヘッドと呼ばれる装置で磁気を書き込むようになっています。円板の上にたくさんの小さい磁石が並んでいて、この磁石の向きでデータを記憶しています。
HDD の中でデータを記憶する円板の 1 枚 1 枚をプラッタといいます。HDD の記憶容量を増やすにはプラッタの枚数を増やす方法と 1 プラッタあたりの記憶容量を増やす方法があり、この両方を進めることで HDD の容量増加が図られてきました。2016 年現在では 1 つの HDD の容量が数テラバイトに達しています。
ソリッドステートドライブ (SSD) #
ソリッドステートドライブ (Solid State Drive, 略して SSD) は可動部を持たないドライブという意味で、フラッシュメモリなどの装置を使ってデータを記録します。2000 年代後半から現れ始め、2016 年現在では多くのコンピュータに導入されています。ECCS の iMac 端末にも SSD が導入されています。
SSD が HDD に比べて優れた点の 1 つは、HDD のヘッドのような動くパーツを持たないということです。したがって物理的な衝撃に対して SSD は HDD よりも優れています。また SSD は一般に HDD よりデータ読み書きの速度が速いとされています。
一方 SSD は HDD に比べて歴史が浅く、2016 年現在でも HDD に比べ容量あたりの値段が高くなっています。そのため HDD と SSD を組み合わせて、起動時に読み込むプログラムやデータを SSD に入れ、それ以外の大容量データを HDD に入れるという使い分けがなされるケースもあります。このような使い分けは操作する人間が行うこともありますが、一部の製品ではデータを使用頻度に応じて自動で SSD と HDD に振り分けます。
接続のための規格 #
HDD や SSD をコンピュータに搭載するには様々な方法があります。2016 年現在、コンピュータの内部での接続インターフェースには以下のような規格が使われます。
- Serial ATA (SATA)
- mSATA
- PCI Express
- SATA Express
- M.2
- Serial Attached SCSI (SAS)
2010 年代中盤ごろから、SATA 3.0 の速度では SSD の高速な性能に追いつかなくなったこともあり、PCI Express を利用する高速な接続規格によって SSD が搭載されることが増えています。なお、SAS は主にサーバ用のコンピュータに使われる規格で、一般消費者向け製品で見かけることはほとんどありません。
また、コンピュータの外部に接続するための代表的な方法としては、次の 2 つの規格があります。
- USB
- Thunderbolt
USB や Thunderbolt は HDD や SSD 以外にも様々な機器の接続に使われます。 17.8.1. 汎用インターフェース