インターネットと政治

18.3.2. インターネットと政治

最近ではインターネットが政治に活用されるようにもなってきています。日本はインターネットを政治に活用する動きが先進諸国に比べて比較的遅かったのですが、公職選挙法の改正に伴い 2013 年 7 月の参議院議員選挙からインターネット上での選挙活動が認められるようになりました。また、政府も情報技術を活用するための道を模索しています。そこでインターネットが政治にどのような利害をもたらすのか、そして私たちはインターネットを使う上で何に注意しなければならないのか、考えてみましょう。

情報の配信コストの低下 #

インターネットが持つ特性の中で政治に最も効いてくることの 1つが、情報を安価かつ大量に発信できることです。

たとえば国会議員が自分の選挙区の有権者に情報発信することを考えてみましょう。紙媒体で情報を伝えるとすれば、はがき 1 枚を 1 万人に送るだけで 50 万円もかかってしまいます。しかしウェブサイトならお金をケチればタダでも作れます。仮に専門の技術者を雇ったとしても、紙媒体を使うよりはるかに安上がりでしょう。紙面の制約もありません。その上、ウェブサイトを作ってしまえば全世界の人が情報を見られるようになります。

また、郵送で送れるものは基本的には紙媒体ですから、情報を伝えるための道具は文字と図画だけです。しかしインターネットの通信速度が上がったことにより、インターネット越しならば音声や映像も送ることができるようになりました。もちろん、いくら手段があっても内容が貧相なら元も子もありません。しかし道具が増えたことで、より充実した情報を伝えられる可能性が増えたことも間違いないでしょう。

インターネットを活用した討論・議論 #

インターネットの特徴の一つに「通信の双方向性」があります。この双方向性も、政治の流れに大きく影響するかもしれません。

たとえば一昔前のテレビの討論番組では、視聴者は流れてくる討論を一方的に聞くだけでした。しかしインターネットでは双方で情報をやりとりすることが簡単なため、システムさえ用意されれば、テレビの向こう側へ意見を送ることもできます。インターネットを活用すれば、これまでより格段にインタラクティブな討論ができるようになるでしょう。

また、インターネット上に掲示板を置けば、インターネットにアクセスできる多くの人が議論に加われるようになります。インターネットによって「草の根民主主義」が実現できるかもしれません。ただし、適当な議論をしても実りがないのは現実世界でもインターネットでも同じです。インターネット上で議論をする場を作るなら、議論が上手くいく仕掛けを合わせて作る必要があるはずです。

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