書式の設計

22.1. 書式の設計

文書を作るには、文書の体裁を予め決めておくことが重要です。ワープロソフトを用いると色々な書式を実現できますが、どの書式を使うかを決めるのは、それを操作する人です。実際に文字を打ち始める前に、書式の設計を済ませておきましょう。

文字の向き #

まず重要なのは、文字の向きです。

どの向きに文字を書くかは、言語に依存して決まります。英語をはじめとする欧米の言語は、基本的に左から右への横書きしかしません。一方、アラビア語では右から左へと文字を書きます。そして日本語では、左から右への横書きと、上から下への縦書きとの両方が用いられます。通常ワープロソフトでは、利用する言語を指定すれば、それに応じた文字の向きを自動で設定してくれます。

そして日本語のように文字の書く向きが 2 通り以上ある場合は、文書の内容や形態によって慣習的に向きが決まることが多いでしょう。たとえば古典文学作品なら縦書き、科学技術文書なら横書きを用いることがほとんどです。ただし、こうしたルールは絶対的なものではありません。科学技術系の文章であっても、新書であれば縦書きで組むことがしばしばあります。

いずれにせよ、文字の向きは文書の内容や出来上がりの形態に依存して決まるものです。くれぐれも ワープロソフトの標準が横書きだから、泣く泣く横書きで文章を書くなどということにならないよう注意してください。

用紙サイズと余白 #

続いて、用紙のサイズと余白を設定しましょう。

日本でよく用いられる紙のサイズには「A 判」および「B 判」という 2 つの系列があります。その中でも皆さんがよく用いるのは

  • A3 判: 420mm * 297mm
  • A4 判: 297mm * 210mm
  • B4 判: 364mm * 257mm
  • B5 判: 257mm * 182mm

のいずれかでしょう。

アメリカでは A4 判に似た「レターサイズ」と呼ばれるサイズの用紙があります。たまに Microsoft Word の初期設定でレターサイズが指定されることがありますが、レターサイズで組んだ文書を A4 判に出力しようとすると、エラーやズレの原因となります。気を付けてください。

文書作成のルール #

そして最後に、文書作成のルールを決めておきましょう。一人で文書を作成する場合はあまり気にしないで良いかもしれませんが、複数の人で一つの冊子を作るときは、ルールを決めておかないと仕上がりがガタガタになります。皆さんにもきっとクラスやサークルで冊子を作ったり、あるいは何人かで共同でレポートを書いたりする機会があるはずです。「ルールを決めなければいけない」という点に気を付けてください。

なお本気で組版規則を決めるのは大変なので、ここでは最低限考えておくべきことを書きます。細かいことが気になる人は 22.6. 参考文献 で紹介する文献を読んでください。

句読点 #

横組みの場合、句読点には主に

  • コンマとピリオド
  • コンマと句点
  • 読点と句点(テンとマル)

という 3 つの流儀があります。分野によってどれを用いるか違うので、書く文書の種類に応じて、決めましょう。はいぱーワークブックでは、理工系の書籍に多い「コンマとピリオド」の組合せで統一しています。

また、縦組の場合は「読点と句点」の組合せのみが用いられます。

強調の方法 #

文字の強調をする方法も決めておきましょう。典型的なものには

  • ゴシック体と明朝体の切り替え
  • 下線の利用
  • 太字の利用
  • (欧文限定)イタリック体の利用
  • (和文限定)傍点、圏点の利用

といった方法があります。これらの中から、どれを使うか決めましょう。

注意すべきは同じような強調の仕方には、同じスタイルを用いるという点です。ある場所では太字、ある場所では下線、ある場所では斜体というように強調の仕方をコロコロ変えると、スタイルの一貫性が失われ、見栄えが悪くなります。

見出しの体裁 #

長い文章の場合、章や節の見出しやタイトルなどを書く必要があります。そういうものをどの程度の大きさにするか、あるいはどの種類のフォントを用いて表すか、予め考えておきましょう。

フォント #

フォントをどう使うかについては、次の節 22.2. フォントに関する基礎知識 で解説します。

文書作成 書式の設計 フォントに関する基礎知識