コンピュータ内の情報は「ビット」という基本単位で測られます.この節では,ビットを基本とする情報の量の表し方を説明します.
ビットとバイト
コンピュータ内の情報は全て 0, 1 の列で表されています.この 2 進数 1 桁で表される量を 1 ビット (省略形は b) と言います.情報の量はビット列の長さで「… bit (ビット)」というように表されます.
1 ビットでは 0 または 1 しか表すことができないので,情報の量を表現するための単位としては小さ過ぎて使いにくい側面があります.そこで,もう少し大きな単位として Byte (バイト, 省略形は B ) が使われます.1 バイトは 8 ビットと定義され,1 バイトでは 28 = 256 通りの情報を表すことができます.この後 18.4 文字の符号化 で説明するように,一般に英数字であれば 1 文字は概ね 1 バイト,漢字であれば 1 文字は概ね 2 バイトまたは 3 バイトで表現されます.したがって,英数字からなる文書ファイルのバイト数は,おおよそそのファイル内の文字数に相当します.
倍量単位と接頭語
簡単なプログラムを書く程度なら,情報の単位にはバイトを使っていれば事足ります.しかし私たちが普段扱う情報の量を測る単位としては,バイトでもまだ小さすぎます.たとえば DVD に納められた映画の情報量をバイトで表すと十億単位の数が必要になってしまいます.そこで単にバイトを使うのではなく, k (Kilo/キロ), M (Mega/メガ), G (Giga/ギガ), T (Tera/テラ) などの接頭語を付けた倍量単位が使われます.
通常の物理量を表す国際単位系でも,このような接頭語が使われます.例えば周波数の単位である Hz では,次のような関係にあります.
- 1 kHz = 1000 Hz = 103 Hz
- 1 MHz = 1000 kHz = 106 Hz
- 1 GHz = 1000 MHz = 109 Hz
- 1 THz = 1000 GHz = 1012 Hz
ビット/バイトなど情報量に関しても,これと同じ 10の整数乗倍の意味で使われます.しかし,同じ接頭語を使っても,1000 (= 103 ) ではなく,1024 (= 210 ) を掛けていった大きさの意味で使われる場合は,KiB(キビバイト), MiB(メビバイト), GiB(ギビバイト), TiB(テビバイト), …と言った用語が使われることがあります.
- 1 KiB = 1024 B = 210 B = 1024 B
- 1 MiB = 1024 KiB = 220 B = 1048576 B
- 1 GiB = 1024 MiB = 230 B = 1073741824 B
通信速度の単位
通信速度(単位時間当たりに通信できる情報量)には,bps (bits per second)を用います.1 bpsは,1 秒間に 1 ビットだけデータを転送できる通信速度です. bps も接頭語を付けて倍量単位が用いられます.たとえば,古いアナログモデムであれば 56 kbps, ISDN (Integrated Service Digital Network) 回線であれば 64 kbps でした.2012年現在最新の携帯電話の通信速度は,Mbpsで表記されることが多いです.
109 bit/s × 10-3 s / (8 bit/B) = 125000 B. 50×220 B × 8 bit/B / (109 bit/s) = 0.419 s.