コンピュータを操作する上で最も基本となる,ファイルとフォルダの概念について説明します.
ファイル
「ファイル」とは,データのひとまとまりのことを言います.コンピュータの中では,全てのデータはファイルという形で管理されています.
ファイルにはいろいろな種類のものがありますが,大きく分けてデータファイルと実行可能ファイルに分類することができます.データファイルの例としては,授業のレポートのような文書ファイルや,音楽の入った音楽ファイル,画像の入った画像ファイルなどが挙げられます.これに対して実行可能ファイルは,実行できるプログラムが納められているファイルです.実行可能ファイルは,一般的には直接編集することができません.
Mac OS X ではファイルは「アイコンとファイル名」という形で表され,アイコンを見るとそのファイルの種類が大体分かるようになっています.Mac OS X でファイルを示すアイコンにはたとえば以下のようなものがあります.左から,実行可能プログラムの入った Java クラスファイル,ウェブページのデータが入った HTML ファイル,画像の入った JPEG ファイル,音声や動画の入ったRealMedia ファイル,文書の入った RTF ファイルを表します.
フォルダとは
「フォルダ」とは,複数のファイルをまとめて入れておくための「入れ物」もしくは「場所」です.現実の世界でたくさんの書類を扱う際にフォルダにまとめて管理するのと同じように,コンピュータの中でもファイルはフォルダに入れて管理されています.
フォルダは,ディレクトリとも呼ばれます.歴史的にはディレクトリという言葉が使われてきましたが,最近はフォルダという言葉が使われることが増えています.はいぱーワークブックでは場合に応じて,主に GUI の説明ではフォルダ,CUI の操作ではディレクトリと両方の用語を使いますが,同じ意味ですので注意してください.Mac OS X では,フォルダは主に次のアイコンで表されます.
ファイルとフォルダの名前
全てのファイルとフォルダには名前が付いています.ファイル,フォルダについている名前をそれぞれファイル名,フォルダ名といいます.
自分でファイルやフォルダを作る場合には好きな名前を付けることができますが,Mac OS X が扱える名前の長さは「255 文字まで」という制約があります.あまり長い名前を付けても不便なだけなので,できれば短くて分かりやすい名前を付けるのがよいでしょう.ファイルやフォルダに名前を付けるときには大文字と小文字の英数字,そしていくつかの記号を使うことができます.大文字と小文字は区別されます.
15. コマンド で紹介する「ターミナル」でファイルを操作する可能性があるなら,名前に使用する記号としては,英数字の他に,ハイフン (-),ピリオド (.),アンダースコア (_)だけにした方がよいでしょう.他の記号,たとえばアスタリスク(*),バックスラッシュ (フォントによっては円記号) (\),疑問符 (?) などはターミナルでコマンドを入力する際に特別な意味を持つ文字なので,ターミナルで入力したコマンドが意図したものと全く違ってしまうことになります.また,ターミナルで操作する可能性のあるファイルやファイルには,日本語の入った名前を付けるのも避けた方がよいでしょう.これは Mac OS X のターミナル上で動くアプリケーションの中には日本語に対応しないものも多くあるからです.
拡張子
ファイル名の一部として,ピリオド (.) 以下に特定の文字列を記してファイルの種類を明示することが頻繁におこなわれます.このピリオド (.) 以下の文字列を,ファイルの拡張子と呼びます.たとえば index.html という名前のファイルは,最後のピリオド以下の部分 “.html” によって HTML 形式のファイルであることが明示されています.
拡張子を意識する機会はあまりないかもしれませんが,ファイルを操作する上ではとても重要な情報です.詳しくは 14.5 ファイルの分類 を参照してください.
隠しファイル
名前がピリオド (.) から始まるファイルがあります (例えば “.forward” や “.cshrc” など).こういう名前の付け方がしてあるファイルは多くの場合,プログラムの設定などを記述したファイルであり,いわゆる隠しファイルになっています.主にシェルの設定ファイルやアプリケーションの設定ファイルなど,通常ユーザーが触れるべきでないファイルがこのような名前になっています.
隠しファイルは普通に Finder で操作している間は表示されません. 隠しファイルを見るには,ターミナルを使って ls -a コマンドを入力する必要があります.詳しくは 14.4.2 ディレクトリの操作 で説明します.