Mac OS X では特別な役割を持つフォルダがいくつかあります.
ホームフォルダ
教育用計算機システム (ECCS) において,ファイルシステムの /home01 から /home08 フォルダの下には,各ユーザに割り当てられたフォルダがあります.このフォルダを各ユーザのホーム (home) といいます.Mac OS X では,ホームフォルダは通常のアイコンではなく,下のような人の形が入った特殊なアイコンで表されます.
基本的にはユーザが操作できるのはそのユーザのホーム以下にあるファイルやフォルダだけです.それ以外の場所にあるファイルやフォルダを操作するには,管理者と呼ばれる特別な権限を持つアカウントが必要です.
このようにユーザが作業できる領域を制限することで,勝手に消したり改変したりするとシステムに対して取り返しのつかないダメージを与える恐れのあるシステムにとって非常に重要なファイルには,一部の人しかアクセスできないようにしているのです.これは Mac OS X がマルチユーザ,つまり一台のコンピュータを複数の人が使うことを前提にしたシステムだからです.このマルチユーザというのも,Mac OS X が UNIX から受け継いだ特徴の一つです.
デスクトップ
デスクトップフォルダは,各ユーザのホームディレクトリの中に「デスクトップ」(英語環境ではDesktop) という名前であらかじめ置かれています.デスクトップフォルダは下のアイコンで表示されます.
このフォルダは,通常のフォルダと同様に利用できますが,特別に画面の背景部分と結びつけられています.(「デスクトップ」という用語は画面全体あるいは背景部分を指します).デスクトップフォルダの中に入れたファイルは,コンピュータの画面の背景画像の上に表示されます.よく使うファイルやフォルダはここに置いておくと簡単にマウスで選択でき,すぐに開くことができて便利です.
その他の特別なフォルダ
Mac OS X では Desktop をはじめ,ホームフォルダのすぐ下には最初からいくつかのフォルダが存在します.それらの役割について,簡単に書きます.
- Library という名前のフォルダは,アプリケーションの環境設定のファイルなどが保存されます.たとえば,メールクライアントの Apple Mail によって,(サーバ内ではなく)「この Mac 内」に保存されたメールは,Library/Mail の下に保存されます.通常は,Library フォルダの中のファイルを直接操作したりすることは少ないでしょう.
- Documents というフォルダは文書保存用のフォルダで,テキストエディットなどの文書を扱うアプリケーションのデフォルトの保存先になります.しかし,文書ファイルを Documents 以外の他の場所に保存しても,問題はありません.Music,Movies,Pictures もそれぞれ関連のアプリケーションのデフォルトの保存先です.
- Public というフォルダは,他人に見せるためのファイルを置くためのフォルダです.Public フォルダに HTML ファイルを置いて 14.3.6 詳細情報とパーミッションの操作 に従ってパーミッションを設定すると,別の利用者がファイルを読めるようになります.ただしこの設定で作ったファイルは,ウェブページの形では公開されません.ウェブページの公開の方法については,17. ウェブサイトを作る技術で扱います.
ディスク使用量の制限
個人のデータは,自分のホームフォルダの下に置くことになります.ホームフォルダの下に新たにフォルダを作って整理する方法もおいおい学んでいきます.ただし,教育用計算機システムにおいては,自分のホームフォルダの下だからといって,いくらでもデータを置けるというわけではなく,制限が決まっています.2016 年 4 月現在,学生ひとりあたりにつき,約 8 GBまでとなっています.