コンピュータの補助記憶装置として中心的な位置を占めるのが,ハードディスクドライブ (HDD) とソリッドステートドライブ (SSD) です.
ハードディスクドライブ (HDD)
ハードディスクドライブ (Hard Disk Drive, 略して HDD) は磁気を用いてデータを記録する装置です.HDD の内部には金属製の円板が何枚か入っており,ヘッドと呼ばれる装置で磁気を書き込むようになっています.円板の上にたくさんの小さい磁石が並んでいて,この磁石の向きでデータを記憶しています.
HDD の中でデータを記憶する円板の 1 枚 1 枚をプラッタといいます.HDD の記憶容量を増やすにはプラッタの枚数を増やす方法と 1 プラッタあたりの記憶容量を増やす方法があり,この両方を進めることで HDD の容量増加が図られてきました.2016 年現在では 1 つの HDD の容量が数テラバイトに達しています.
ソリッドステートドライブ (SSD)
ソリッドステートドライブ (Solid State Drive, 略して SSD) は可動部を持たないドライブという意味で,フラッシュメモリなどの装置を使ってデータを記録します.2000 年代後半から現れ始め,2016 年現在では多くのコンピュータに導入されています. ECCS の iMac 端末にも SSD が導入されています.
SSD が HDD に比べて優れた点の 1 つは,HDD のヘッドのような動くパーツを持たないということです.したがって物理的な衝撃に対して SSD は HDD よりも優れています.また SSD は一般に HDD よりデータ読み書きの速度が速いとされています.
一方 SSD は HDD に比べて歴史が浅く,2016 年現在でも HDD に比べ容量あたりの値段が高くなっています.そのため HDD と SSD を組み合わせて,起動時に読み込むプログラムやデータを SSD に入れ,それ以外の大容量データを HDD に入れるという使い分けがなされるケースもあります.このような使い分けは操作する人間が行うこともありますが,一部の製品ではデータを使用頻度に応じて自動で SSD と HDD に振り分けます.
接続のための規格
HDD や SSD をコンピュータに搭載するには様々な方法があります.2016 年現在,コンピュータの内部での接続インターフェースには以下のような規格が使われます.
- Serial ATA (SATA)
- mSATA
- PCI Express
- SATA Express
- M.2
- Serial Attached SCSI (SAS)
2010 年代中盤ごろから, SATA 3.0 の速度では SSD の高速な性能に追いつかなくなったこともあり, PCI Express を利用する高速な接続規格によって SSD が搭載されることが増えています.なお, SAS は主にサーバ用のコンピュータに使われる規格で,一般消費者向け製品で見かけることはほとんどありません.
また,コンピュータの外部に接続するための代表的な方法としては,次の 2 つの規格があります.
- USB
- Thunderbolt
USB や Thunderbolt は HDD や SSD 以外にも様々な機器の接続に使われます.19.8.1 汎用インターフェース