インターネットを用いることで,情報を広く送信するためのコストが非常に下がりました.
情報の配信コストの低下
インターネットが持つ特性の 1 つは,情報を安価かつ大量に発信できることです.
たとえば皆さんが,何かイベントを企画し,その広報手段を考えることになったとしましょう.インターネットが無かった時代には,広報をするには紙などの媒体を使うしかありませんでした.したがってポスターやチラシを作り,それをどうにかして配付しかありません.ところがインターネットが発達したおかげで,皆さんは現在,無料でウェブサイトを作ることができます.ウェブサイトさえ作れば,原理的には,世界中に向けて情報を発信できるのです.またインターネットの通信速度とコンピュータの処理性能が向上したおかげで,単なる文字や写真といった動かない情報だけでなく,音声や映像といった動く情報も配信できるようになりました.皆さんは非常に簡単に,世界に向けて情報を発信できるのです.
もちろん「世界中に情報を発信できる」からといって「世界に向けて発信した情報が,適切な人のところに届くか」というのは別の問題です.イベントの宣伝であれば,ポスターやチラシを配置したり,時と場合によっては雑誌などに広告を出したりもする必要があるでしょう.ですがインターネット上でウェブサイトが作れれば
- 既存の媒体における宣伝を,ウェブサイトと結びつけられる
- インターネット上に,ポータルサイトなどの新しい宣伝媒体が登場する
といった 2 つの意味で,宣伝そのものも効果的に行うことができるようになります.
このようにインターネットの登場によって,情報発信の仕方が大きく変わりました.特に,これまで情報を受け取るだけの立場だった一般市民が,情報を発信できるようになったのです.
1 次情報の発信
情報発信にインターネットを使うことのもう 1 つの利点は,誰にも加工されない 1 次情報を発信できることです.
新聞やテレビなどのマスメディアは情報を取捨選択し,その上で加工をして視聴者に伝えます.これは良いことでも悪いことでもあります.世の中には情報があふれていますが,それら全ての情報を全ての人が必要とするわけではありません.マスメディアが的確な情報加工をしてくれるおかげで,私たちは求める情報を適度に入手することができます.その一方で,マスメディアに捨てられる情報もあります.何か物事を詳しく調べようと思ったとき,マスメディアから受け取る情報だけでは不十分なこともあるでしょう.裏返して情報を発信する側から見れば,マスメディアを経由すると伝えたいことが伝わらない恐れがあります.
インターネットでの情報発信は,このようなマスメディアによる負の側面を回避することができます.インターネットは,情報を発信する人と情報を受信する人を直接結びつけられるからです.情報を配信する側から見れば,情報を自分の思い通りの形で伝えられることは大変魅力的でしょう.また情報を受け取る側にとっても,1 次情報に容易にアクセスできることは大きな利点です.