教育用計算機システムにおいて皆さんが利用する iMac 端末について説明します.
これが iMac 端末
東京大学の教育用計算機システムは,大学全体で利用できる教育のためのコンピュータシステムで,ECCS (Educational Campuswide Computing System) という略称で呼ばれています.情報基盤センターが管理,運営しています.
教育用計算機システムで利用できる端末は,iMac 端末と呼ばれる端末です.S セメスターの情報の授業は,この iMac 端末を使って行われます.よって,いま読んでいるインターネット上の教材である「はいぱーワークブック」では,iMac 端末の利用を前提に書かれています.情報教育棟の中で,この文章を読んでいる人は,きっと目の前に 21.5 インチの液晶モニタがあることでしょう.それが iMac 端末です.
モニタがあるのは分かるが,肝心の本体が見当たらない,と思う人がいるかもしれませんが,本体はモニタに内蔵されています.iMac 端末の構造は,家庭用のパーソナルコンピュータと全く同じです.しかし,その運用のされ方は家庭用のものと異なります.
ネットワークによる集中管理
教育用計算機システムの iMac 端末は,コンピュータのネットワークでつながれています.そのために,どの端末を利用しても,同じ環境を利用することができます.(昨日座った席と同じ席に座らないと昨日書いたレポートの続きができない…ということはありません!) 企業や大学など大規模の組織では,このようなネットワークによる管理を行うことが一般的です.全ての端末は中央のコンピュータにより集中的に管理されています.そのような管理をするコンピュータはサーバコンピュータと呼ばれます.サーバが管理するコンピュータを端末と呼びます.教育用計算機システムには 1,000 台以上の iMac 端末があります.
Mac OS X について
iMac 端末では,アップル社の Mac OS X と,マイクロソフト社の Windows という2つのオペレーティングシステムが使われています.(オペレーティングシステムとは何かは後の章で解説します.さしあたりは大雑把に「環境」のような意味ととらえてください.)S セメスターの情報の授業では,主に Mac OS X を使います.
もしかすると,高校の情報の授業ではマイクロソフト社の Windows が使われたかもしれません.Mac OS X も Microsoft Windows もそれぞれ特徴のある優れたオペレーティングシステムですが,基本的な部分は変わりません.つまり,今まで Microsoft Windows を使いながら学んだ概念は,これから Mac OS X を使う上でも役に立ちます.また,Mac OS X を通じてはいぱーワークブックでこれから学ぶ概念は,将来(Microsoft Windows を含めて)別のシステムを使う場合でも必要になることです.
現在のところ,家庭用コンピュータのオペレーティングシステムでは Microsoft Windows のシェアが高いため,大学でも同じ環境を使いたいという人もいるかもしれません.しかし,複数のオペレーティングシステムを通してコンピュータを操作することは,コンピュータを抽象的に理解し,さらには「情報」という概念についての理解を深めることにつながります.同じ会社の製品でもコンピュータの使い心地は数年経てば大きく変わります.そこで,はいぱーワークブックでは,(すぐに役に立たなくなってしまうような表面的な知識ではなく),未来に新しいコンピュータに触れる時にも役に立つような深い理解を目指しています.
大学で Mac OS X を用いて学ぶことを,ここはひとつ積極的に捉えてみてください.